αで汎用ストロボを使う

2010.12.03版 
2010.12.18版
 

ここは私/matsu_v6がYahoo!オークションに出品している(していた)α用シュー変換アダプタの参考ページです。検索サイトなどから直接訪問された方で興味がある方は、まずこちらの出品一覧をご覧下さい。

ご質問、間違いのご指摘や情報のご提供には関連する出品物の質問欄をご利用ください。なおページの設置目的上、ご利用は商品検討に限定致します。外部からのリンクや転載はご遠慮ください。


Minolta αシリーズはホットシュー規格が他社と異なるためそのままだと高価な純正ストロボに選択肢が限られてしまいますが、ホットシューアダプタを使用する事で旧型を含む安価な汎用品が使用可能になります。しかし、純正品と異なり誰もボディ/ストロボの組合わせを保証してくれず、取付ければ結果は出ますが最悪の場合ボディを破損!と言う可能性もあります。

以下は個人的に経験/調査した情報でその内容を100%保証することは出来ませんが、より多くの情報を共有しアダプタやストロボ選びのご参考になれば、特に初心者の方の不安解消やアダプタの有用性と限界の確認のために、と思いまとめたものです。

なお、私はMinoltaユーザーなのでSony製品の事はよく判りません。ストロボ関係の基本仕様は共通だと思いますが、Sonyユーザーの方は注意下さい。


シンクロ電圧

ストロボは発光させるためのシンクロ電圧で高電圧タイプ(約200V以上:パナソニックの分類、以下同じ)、中電圧タイプ(約50V前後)および低電圧タイプ(約10V以下)に分類され、旧型やスタジオ機器に多い高〜中電圧タイプはほとんどのデジカメで使用できません。単に発光させられないだけではなく、ボディを破損する場合もあると言われています。

安価なシュー変換アダプタ*を前提にすると、αと組合わせるストロボは低電圧タイプ限定となります。既に製造販売の終了した製品も多く電圧に関する情報は乏しいですが、パナソニック製品はパナソニックのQ&Aに情報があります。また、個人サイトですので利用は自己責任(一切の保証はありません)となりますが、Strobe Trigger Voltages(英文)にまとまった情報があり、私はもっぱらここでチェックしています。
*電圧マッチング回路を内蔵したアダプタであればこの電圧問題は回避可能ですが、アダプタそのものがかなり高価、純正ストロボが買えてしまいます。写真スタジオの照明システムなどに接続するのであれば話は別ですが、個人レベルでは現実的な選択肢ではありません。


X接点による発光

最近のストロボやボディには複数の接点がありますが、実際に発光に関係するのはセンターのX接点とガイドレール(アース)のみで、それがショート(通電)*したときに発光します。その他端子はボディと連動した発光量制御などのオート機能で使用されています。

シュー変換アダプタはストロボをこの2接点のみで単純に発光させるため原則フル発光、光量設定可能なストロボではその光量となりボディ側から制御する事はできません。つまり、オートは機能しませんのでマニュアル撮影になります。
*このときどちら向きに通電するか(X接点にかかる電圧が+か−か)がよく言われる極性問題だと思いますが、よく判りません (^_^;)。


シュー変換アダプタの比較

FS-1100/SC-5は見かけ上3接点、TF-325は5接点ですが、実際にはいずれもセンターのX接点とガイドレール(アース)のみが結線された単純なX接点シュー変換アダプターです。また、TF-323はシュー変換は行わずにX接点(シンクロターミナル)を付加し、SYK-3は汎用フォトスレーブトリガーで、ともにαで汎用ストロボを発光させる手段となります。


X接点アダプタを用いれば理屈では全ての汎用ストロボを発光させられるはずですが、当方では以下のように発光させられない製品の存在とFS-1100とSC-5の挙動差を確認しています。なお東芝製と他カメラメーカー製ストロボは未チェックですが、X接点による単純発光に限れば状況は大して違わないハズです。

なお、高電圧機器でのテストも行っていますが、破損したアダプタはありませんでした。しかし発光失敗=放電されていないので、ストロボ側からアダプタに電圧はかかっていないはずです。取付けた状態でテスト発光させるなどした場合には危険が予想されますので、必要がなければ絶対に接続しないで下さい。


オープン時
通電抵抗
(Ω)(1)
National
PE-3057
National
PE-320s
SUNPAK
autozoom
333D
Minolta
AFシリーズ
SUNPAK
auto 20SR
高電圧タイプ
Minolta
FS-1100
30〜35×
SEAGULL
SC-5
20〜25(2)××
PIXEL
TF-325
(3)(3)×
PIXEL
TF-323(4)
接続不可接続不可×
SEAGULL
SYK-3(5)
(1)センター側+/ガイドレール側−で測定、逆向きは全て∞を確認。
(1)ショボいテスターなので数値そのものは参考程度です。
(1)なお、オープン時通電抵抗は私の造語ですから他所では通用しません (^_^;)。
(2)極々稀に(傾向的に新品電池では)発光しますが実用には程遠いです。
(3)PE-320s(シンクロターミナル)とautozoom 333D(シュー)は共存不可。
(4)シンクロターミナルに接続して確認。
(5)SYK-3は高電圧機器の発光も可能ですが、設計上そうなのかは不明です。

FS-1100は自社AFシリーズ(厳密には1200AFのみ)を対象に設計され、AFでは問題が起こらないのでオープン時通電を許容してコストダウンを図ったようですが、かなり問題のある仕様だと思います。

その構造も含むコピー品であるSC-5でPEシリーズを発光させられない原因がオープン時通電であるとすれば、FS-1100と僅か10Ωの差である事/PE-3057が稀に発光する事からPEシリーズにSC-5でも発光可能な製品はありそうです。であれば、逆にFS-1100で発光させられない製品がPEシリーズに限らず存在する可能性が(雰囲気的には高い確率で)あります。

AFシリーズ限定使用なら安価なSC-5で十分ですが、それと見分けのつかない他社製品が多数あります。その中にはまったく保護回路を持たない危険な製品も混じっているらしいです。SC-5には極めて貧相ですが一応保護回路がありますので、購入時には(他にもまともな製品があるとは思いますが)SEAGULL製である事は要確認です。

なお、SC-5のストロボ側コネクタは非常にキツく、ストロボの脚がもげるのではないかと不安になるほどです。しかし、それは不良品ではなく忠実に(馬鹿正直に ^_^;)コピーしてしまったためで、本家のFS-1100も死ぬほど硬いです。FS-1100やSC-5使用時には脱着せずストロボに付けっぱなしにする事をお奨めします。

SC-5でもSUNPAK autozoomシリーズであれば使用できそうですが、社外品汎用ストロボをより確実に発光させたいならオープン時通電のないTF-325の方が可能性は高いはずです。やや特殊な状況ではないかと思いますが、既に所有する純正ストロボを活かしつつ汎用と混在させる場合にはクリップオンとターミナルを使い分けるTF-323の出番となります。

TFシリーズの方がより高い汎用性が期待でき価格的にもメリットはないので私は奨めませんが、FS-1100選択の場合は結構普通に偽物が流通していますので注意して下さい。バリ痕生々しくロゴ不鮮明でMinolta純正はありえません。それを商品画像から見分けるのは難しいですが、少なくともシンクロターミナル付きは偽物、私の知る限りFS-1100にそんなバリエーションはありません。

α限定ではありませんが、フォトスレーブトリガー SYK-3も魅力的な選択肢だと思います。トリガー用別電源やケーブル不要の手軽さ、汎用性が高く高電圧タイプも使用できる(あくまでも自己責任ですが被害がボディに及ぶ事はありません)など、プレ発光非対応である事や他人のストロボで意図せず発光する事を差し引いても、十分に使える製品です。

なお、ロック機能のあるストロボの場合は問題になりませんが、SYK-3のストロボ側アダプタは全般に緩い傾向があります。そうした機能のない単純に差込むだけのストロボでは若干のカタツキが感じられ、まれですが発光失敗の原因となりますのでガイドレール(アース)側の接触不良に注意が必要です。

手持ちだと両手がふさがりますが、オフカメラによる側面発光や首振りしない安価なストロボでもバウンス撮影ができるなどSYK-3が1個あれば撮影の幅が広がり、また被写体背面に仕込むワンポイントの影飛ばし(バックストロボ)にも便利です。複数組合わせて安価に照明システムを構築する事も可能ですが、灯数が多くなると高機能な電波式や赤外線式の方が逆に安価になりますので、灯数・機能・コストのバランスは要熟考です。


マニュアルによるストロボ使用

ストロボの発光量はガイドナンバー(GN)で表示されます。内蔵ストロボのGNは通常10〜15程度の小光量で、ちょっと離れた被写体でも画像の荒れた高感度撮影となってしまう事が多いです。それに対し外付けストロボでは普及品でも30〜50と段違いに強力で、高画質(かつ好みの問題もありますがきっちり絞り込んだ)撮影が可能です。純正品であればボディ任せでも撮影できますが、社外品汎用ストロボではマニュアル操作が必須となります。このハードルを越えなければ折角の大光量を活かすことはできませんが、特に高度な知識技能が要求されるわけではありません(と個人的には思います)。

単純な撮影

ボディに取付けた単独のストロボまたは単独と考えられるボディに近接した複数ストロボで被写体に直接光を当てる単純な撮影では、ISOを100にシャッタースピードを1/60秒*に固定した場合のF値が以下の計算式で求められます。

F値 = GN ÷ ストロボから被写体までの距離(m)

GNが36で距離が5mならF値は7.2(はないので最も近い7.1を選択)

多灯の場合はGNを合算し、ISOを100から変更した場合はその感度に応じてF値を加減します。ストロボが単独の場合、計算しなくてもストロボ背面の換算表をみればF値は決定できます。また、単独でTTL対応ストロボ使用の場合は、その指示(換算表)に従えばセミオート感覚で撮影可能です。
*シャッター速度1/60秒はシャッター幕のある銀塩ボディの縛りで、構造の異なるデジタルボディではより高速撮影も可能です。ただしあまりにも高速だとストロボの発光完了前にシャッターがおりてしまうので、害のない慣例値として1/60秒を示してあります。どの程度まで許容されるかはボディ/ストロボの組合わせで異なりますので、高速シャッターが必要な方はご自身でご確認ください。

オフカメラ/バウンス/多灯など複雑な撮影

被写体に側面から光を当てるオフカメラ、反射光を利用するバウンス、複数の光源を用いる多灯撮影やその組合わせの場合は、条件が複雑で適切なF値を計算で求めるのは困難になります。

現像するまで結果がわからない銀塩撮影の場合は、本番前にテスト発光させルックスメータ(照度計)で被写体面の光量を測る、特殊なポラロイドで撮影して結果を見るなどしてF値を決定します。しかし、結果が即時に確認できるデジタルの場合は撮影をもって測光テストとし最適F値を見つける方が合理的だと思います。

単純撮影と同様に、マニュアルモードにしてISOを100にシャッター速度を1/60秒に固定、F8前後から開始して望みどおりに写るまでF値を修正しながら反復撮影する、これで用は足ります。銀塩だと時間とコストが大変な事になりますが、1枚単価の安いデジタルでは問題はなりません。

同じ機器構成で経験を積むと、なんとなくF値が判るようになり試行回数は激減、一発勝負でも結構写せるようになるハズです。つまり複雑な撮影の結論は経験に裏打ちされた勘を養え!です(無責任ですが最終的にここ行き着くと思います ^_^;)。またこれは副次的効果ですが、オートでは撮影できないオーバーやアンダーの方が雰囲気があって面白い事もままあります。プログラムがはじき出した標準露出が、撮影者の望む最適な露出とは限りません。


旧式も含む汎用ストロボについて

シンクロケーブルで複数ストロボを連動させる場合に、それぞれ単独では問題なく発光するのに共存できないストロボの組合わせがありますので要注意です。私が所有するストロボではTF-325使用時にPE-320s(シンクロターミナル)とautozoom 333D(ホットシュー)を組合せると333Dが発光しなくなります。それはアダプタ固有の問題ではなくストロボ間の相性ではないかと考えています(相性の一言で解決したくは無いのですが・・・現時点では他に思い付きません ^_^;)。

デジタルボディを前提としない古いストロボのなかには電気的な内部ノイズがきちんと処理されていない製品があり、その結果、CCDに干渉し画像が荒れる場合があるらしいです(ストロボの使用頻度が低いので何ともいえませんが、私は未経験です)。

単三電池を使用するストロボが多いですが、単三電池の1.5Vに対し充電式のニッカドやニッケル水素電池は1.2Vです。旧式ストロボは1.2V電池の使用が設計上考慮されていませんので、充電池で動作しなくても故障ではなく、通常の単三電池では問題なく動作することがあります。

チャージ時間が長くなることを我慢して頑張ると、旧式ストロボでは電池を限界まで使い切ることが可能です。通常の単三電池やニッカドの場合は問題ありませんが、過放電に弱いニッケル水素電池は充電不能になってしまう事があります。古いストロボ、特にLow Batteryアラームのないストロボでニッケル水素電池を使い切らないように注意して下さい。チャージ時間が長くなったら頑張らずに充電です。

ストロボのトラブルで一番多いのは長期放置の電池液漏れとキャパシタ(大容量コンデンサ)劣化です。長期間使用しない場合は電池を抜いて保管、その上で定期的に通電/発光させて下さい。なお、やっちまった!と言う場合でも非通電放置による動作不良はある程度は復活する可能性がありますので、諦める前に確実に必要電圧を与えられる新しい電池でじっくり通電して様子を見て下さい。

汎用社外品でも単体で調光できるTTL対応ストロボであればセミオート感覚で使用できますから、オートだけを目的に左右首振りすらできない3600HSDに1万も2万も投資するのはどうかと思います、しかも中古品です。TTL対応かつ左右首振りも可能なNational PE-320sやSUNPAK autozoom 333Dなどが送込2千円前後で流通しているのですから、ストロボ使用はマニュアル撮影と割り切っての汎用品選択もアリだと思います。少なくともコストパフォーマンスは桁違いに良いです。

オマケ

ストロボの出品で『使い方が解らないので動作未確認、ジャンク扱いにて』と言う注釈をよく見かけます。しかし、蓋を開ければ電池の入れ方は書いてあり、せいぜい3〜4個のボタンから電源とテストを見つけられれば発光可否程度は確認可能です。オークションに出品できる程度にはパソコンを使えて、これが『解らない』は極めて不自然です。ストロボそのものを知らないと言うなら話は別ですが、謎の電子機器ではなくちゃんとストロボとして出品されています。普通に考えるとそのストロボは・・・と言う事ではないかと (^_^;)。